日本の古酒蔵
この地から、
古酒文化の未来をつなぐ。
国内初となる古酒専門酒蔵
「日本の古酒蔵(にほんのこしゅくら)」
1978年から現代までに造られた全国の希少な日本酒・焼酎・泡盛・梅酒を厳選し、時を重ねた一滴に新たな価値を吹き込む。
“ふるきよきSAKE-古酒- ”を未来へとつなぎます。
失われゆく時を、再び紡ぐ

時をかけて深まる、美しき酒。かつて日本各地で丁寧に醸された古酒は、時代の移ろいの中で、少しずつ人々の記憶から姿を消しつつありました。その背景には、造り手である中小酒蔵が抱える慢性的な人手不足や、保管・出荷にかかる負担の大きさといった現実があります。
このままでは、時代の香りを宿した貴重な古酒文化が失われてしまう—。そんな危機感と使命感から、私たちは全国10の酒蔵と共同で、2023年に日本で初となる“古酒専門の共同蔵置場”「日本の古酒蔵」を開設しました。
⾧い歳月をかけて熟成された一滴に、ふたたび光をあてる。それが、私たちのはじまりであり、これからも変わらぬ歩みです。
<パートナー酒蔵>










岡田本家(兵庫県・盛典)、本田商店(兵庫県・龍力)、稲見酒造(兵庫県・葵鶴)、岩瀬酒造(千葉県・岩の井)、松藤(沖縄県・松藤)、喜久盛酒造(岩手県・喜久盛)、皇国晴酒造(富山県・幻の瀧)、梅錦山川(愛媛県・梅錦)、川尻酒造場(岐阜県・天恩)、会津酒造(福島県・里の泉)
“冷やさない熟成”が導く、
本来の古酒の姿

多くの酒蔵が品質維持のために冷蔵設備を導入する中、私たちは冷やさない熟成、つまり常温での熟成にこだわり、古酒を貯蔵しています。かつて各地で親しまれていた“ふるきよきSAKE”も、自然な温度の中で、ゆっくりと時を重ねてきました。その文化と味わいを、いま再び現代に甦らせようとしているのです。
貯蔵面積1,988㎡、最大30万リットルを収容する私たちの蔵には、冷却装置は一切ありません。酒は四季の移ろいに身を委ねながら、静かに息づき、やがて深みをたたえた味わいへと熟成していきます。ミズナラやサクラ、バーボン樽といった木樽に加え、ステンレスやホーローのタンク、一升瓶など、多彩な器を用いることで、同じ酒であっても異なる表情が生まれます。私たちは、その変化のひとつひとつに寄り添いながら、やがて訪れる「時の味わい」への昇華の瞬間を、静かに見守り続けています。
唯一無二の味わいを、
未来に遺す

蔵内に並ぶのは、1978年から現代にかけて造られた日本酒・焼酎・泡盛・梅酒の158銘柄。今はもう造り手のいない二度と造れない廃業蔵の銘柄や、単一の酒蔵では販売が難しい超⾧期熟成酒も、この蔵では静かに息づいています。
私たちは、ひとつの蔵だけでは叶わなかった⾧期貯蔵の継続や管理を、全国の酒蔵と連携することで実現しました。北は東北、南は九州・沖縄まで、多様な銘酒が一堂に集まることで、“古酒”という文化そのものが、この蔵で共に生き続けています。それぞれの酒が持つ物語と技、その唯一無二の価値を大切に継承し、未来へと手渡していくことが、私たちの役目です。
蔵や時代を越え、
新たな味わいの創造

日本酒の古酒は、まだ広く知られておらず、「古くなった酒」とネガティブな印象を持たれることが少なくありません。古酒の本当の魅力を、一杯の酒に込めて届けたい―それが私たちの想いです。
私たちは、単一銘柄であっても十分に美味しい古酒を、さらに豊かに仕立てるために、木樽熟成、貯蔵環境の工夫、そして他にはない異なる蔵・異なる年代の酒を掛け合わせる独自のブレンド技法を磨き続けています。これは、日本中の酒蔵の古酒が一堂に集まる「日本の古酒蔵」だからこそできる挑戦です。単なる熟成ではない、新たな酒の文化づくりへ。私たちは、時の力と人の技を信じ、未来を見据えた一歩を踏み出しています。
日本の古酒蔵だからこそ、
できること

多くの酒蔵は、自らの伝統と技術を礎に、「自分たちらしさ」を追求した酒造りを続けています。一方で、私たちは酒造りを担わない立場だからこそ、消費者の感性や時代の嗜好に寄り添った、より自由で柔軟な提案を可能にしています。
異なる酒蔵や年代を掛け合わせたブレンド、焼酎や梅酒といったジャンルを横断する商品開発、ミニボトルやデザインボトルといった多様なライフスタイルに応えるパッケージ展開─。従来の酒蔵では難しかった発想やアプローチによって、まだ知られていない古酒の魅力を、より多くの方々のもとへと届けていきたいと思っています。私たちは、酒を「造る」のではなく、「伝え、広げ、育てていく」存在として。日本の“ふるきよきSAKE -古酒-”の新たな可能性を、次の時代へと切りひらいていきます。