私はこれまで母に対してプレゼントをあまり贈ることがなかった。
社会人になり、久々に母の日にプレゼントを渡した。
お酒好きの母には、「古昔の美酒」というお酒を贈った。
正直、私はお酒が得意ではないため、銘柄や味などはそこまで詳しくない。しかし「古昔の美酒」は原則10年以上熟成した古酒の中からソムリエが厳選して商品化しているという。国内のシェフやソムリエ5000名を超える方のうち90%以上が「おいしい」と言ったお酒なのだ。
普段から綺麗なものには目がない母は、金色の箱を開けるやいなや、照り輝くサテンの布の質感に目を奪われていた。私が幼い頃、初めて母にプレゼントを渡したときのように、目をキラキラと輝かせて嬉しそうにしていた。
琥珀色の酒瓶を取り出し、母はしばらく瓶をゆったりと回しながら、瓶に反射してきらきらと輝く日の光をじっと見つめていた。
日も沈んだ夕食の時間。「今日は母の日だから」と私と父は母の大好物のすき焼きを作っていた。夕食を作りながら私は、「古昔の美酒」は熟成古酒と言うがどんな味がするのだろうか、母はその味を気に入ってくれるだろうか、そんなことで頭がいっぱいだった。
母は目を閉じ「古昔の美酒」を一口。どんな反応が返ってくるか私はドキドキしていた。
「………美味しいっ!」
たった一言だったが、子供のようにキラキラした笑顔で言葉を発した母の様子はいつもと異なって見えた。
目を輝かせながらもう一口。今度は先ほどよりも味わいながらお酒を飲んでいるようだった。こちら側にもふわっと「古昔の美酒」の甘酸っぱい複雑で豊かな香りがただよった。
きっと母は何十年もの間、たくさんのおいしいお酒を飲んできたのだろう。しかしお酒を飲み、こんなに笑顔になった母を見たのは初めてだったかもしれない。
今回のプレゼントは当たりであった。それもただの当たりではない。大当たりだ。
今年の母の日は、母にとっても私にとっても忘れられない一日になった。
2023年の母の日は5/14。今年の母の日は「古昔の美酒」でプレゼントを贈る側も贈られる側も忘れられない1日にしませんか?
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