日本酒って熟成するの?お酢にならないの?

日本酒って熟成するの?お酢にならないの?

 

古昔の美酒専属ソムリエの松本です。
今回は日本酒の熟成について少し解説します。

そもそも熟成ってなに?というところから・・・

一般的な熟成の考え方では、

①微生物や食品その物が持っている酵素が時間をかけて働くことによってタンパク質を分解し、アミノ酸やペプチドになり旨味が増すなどの反応を起こす(醤油やチーズ、お肉など)

微生物や酵素の働きを介さずに、時間をかけることで物質が変化していく反応

2種類が同時に起こります。

日本酒の熟成では、「火入れ」という工程で酵素の働きを止めてしまうため、基本的には②の反応のみ起こります。(生酒の場合火入れを行っていないため、酵素が生きているためにお酒が甘くなることがあるそうです。)

実際に『古昔の美酒』のお酒で見られる反応は主にメイラード反応という糖とアミノ酸が反応して褐色の着色物質(メイライジン)を作る反応が起こります。

~メイラード反応~

では、メイラード反応を詳しく解説していきましょう!

 メイラード反応はアミノ酸と糖(水も必要)が同時に存在するときに起こる、褐色物質を合成しつつ、様々な香気成分を生成する反応です。

簡単な身近な例ですと、玉ねぎを時間をかけて炒めると飴色から次第に褐色になる現象や牛ステーキや鶏のから揚げなど、みんな大好き茶色系美味しいやつによく起こる反応です。

 熱というのがポイントで、温度が高いほどメイラード反応が早く進みます。日本酒でも保管温度が高いほど色が付いていくため、『古昔の美酒』は常温蔵内タンク保管の酒蔵が多く、最初は低温で管理していたが色付けのために常温保管に切り替える酒蔵もあります。

 

~熟成香の香り成分と特徴~

メイラード反応による香りやエステル結合により様々な香りを楽しめることも
熟成ヴィンテージならではの楽しみ方です

今回はさらに深堀りして香りの特徴だけでなく、どのように生成されるのか
解説していきたいと思います

-ソトロン- カラメルやドライフルーツの香り

熟成香といえばこの香りと言うほど代表的な主成分です
カラメルやドライフルーツ、蜜っぽい香りなど熟成によって感じるさまざまな香りに関与している成分です 

ソトロンはメイラード反応の経過によって生成され、熟成期間が長いかメイラード反応の褐色反応が濃くなるほど増加します

また、アミノ酸の分解生成物のαケト酪酸と醗酵中に生成するアセトアルデヒドが結合することでも生成します

-フルフラール- ナッツや香ばしい香り

メイラード反応の副反応として起きるストレッカー分解によって熟成中に様々なアルデヒドが生成されます

中でも芳香族アルデヒドの一種でもあるフルフラールをご紹介します

 ひね香の原因される成分ではありますが、ナッツや焦げたような香ばしい香りを感じられる。含有量によってとても心地よい香りを楽しめる成分です

 -ピラジン類- リラックス作用のある香ばしい香り

熟成酒でも香ばしさ担当の香り成分。お肉を焼いた時やほうじ茶にも含まれる成分で脳をリラックスさせる作用や血流促進の作用もあるそうです

 -コハク酸ジエチル- はちみつのような香り

熟成酒の中に感じるはちみつや蜜のような香りの主成分と考えられています
他にも様々な香り成分が複雑に絡み合いとても多彩な香りを楽しめるのが熟成酒の楽しみの一つです。

~熟成のよる味わいの変化

熟成させることで味わいにも多くの変化が起こります
熟成による味わいで大きく変化するのは、苦味と酸だと思います

特に食とのペアリングに深く関与してきます

日本酒には、主にコハク酸・乳酸・リンゴ酸・クエン酸が含まれています

その中でも旨味を司ると言われているコハク酸がよりすっきりとしたコハク酸モノエチルエステルにシャープな酸味が特徴のリンゴ酸がより柔らかく爽やかな酸味のリンゴ酸モノエチルエステルに熟成による作用で変化していきます

 

さらに、通常の日本酒では感じられにくい苦味が増加ししっかりと感じられます

これにより、味わいの奥行が出てさらに複雑で余韻が長く感じられるようになります。

 今までの古酒のイメージでは食後に楽しむお酒という立場でしたが、『古昔の美酒』では食後だけでなく食中酒としてペアリングを楽しめるお酒としてご提案します。

3つのタイプがあり、

・ライトで軽い飲み口で色合いの淡い古酒を【淡熟】

・味わいと色合いがしっかりとしていて濃くて重厚な味わいの古酒を【濃熟】

・上記の真ん中、重くなくしっかりと味わえるミディアムボディの古酒【中熟】

 

お魚でもお肉でもお野菜でもスイーツでもチーズでもそれぞれに合う食材やお料理とのペアリングを楽しめます

 

~日本酒は古くなるとお酢になるのか?~

結論から言うとお酢にはなりません。

お酢を作るには酢酸菌が必要になりますが、日本酒には含まれていません。
熟成の古酒には、アミノ酸をはじめ多くの糖類や酸類が含まれています

そのバランスで酸(特に乳酸菌由来)を多く感じると酸っぱく感じるものもあります。

さらに寝かせていくことでまた変化が起こり、甘味と酸味のバランスがよくなっていきます

酸が強すぎるお酒はまだ若いのかもしれません

熟成させることによって複雑な化学反応が起こり、酒蔵の方も予想できない多彩な香りを楽しめる所はワインやシェリー酒、ウイスキーなどと一緒で熟成酒の面白い部分の一つだと思います

長い年月を経て、その瞬間しか味わえない芳醇なヴィンテージの日本酒をぜひゆっくりとお楽しみください

% Y% b% d — 古昔の美酒